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『ブレードランナー 2049』感想

#映画 #感想

良かった。良い作品だった。面白かった。

『ブレードランナー』が良くて良くて、ハリソン・フォード格好良い〜!!! とか、レプリカントと人間の関係性、良(よ)〜〜〜〜〜!!!!! ってなってたから、長い年月を経ての続編、しかも主演が交代してライアン・ゴズリングってどうなの? どうなるの? と思ってたんだけどなんのことはない、とっても良い作品だった。ライアン・ゴズリングの、表情おさえめで冷静な雰囲気がKの役柄にとても合ってると感じた。ラストシーンなんてもう絶品でしたね。

ジョイ、あまりにも可愛い。ああいった存在が生身のキャラクターとふれあうときの表現として、とてもとても優れていると思ったし、個人的にもツボだった。「まるで本当に触れているよう」とかではない、でも決して無機質ではない、あの感じ。ジョイは懸命に、一心にKに触れているんだなあ。苦しいけど愛おしい。登場シーンで彼女のスタイリングがコロコロ変わるのは、単にそういうことができるという説明でもあるけど、後のレプリカントとシンクするシーンのためのクッションにもなっていたんだな。レプリカントの彼女はピンク髪に派手なメイクだから。

傷心のKにジョイとは違うジョイが話しかけるところ、切なかったなあ。ジョーという名前は「あの」ジョイがKに与えた大切なものだったけど、それは「どの」ジョイの内部にもあるただの名前だった。でもあの時のジョイは、確かに目の前のKに与える大切な名前として呼びかけたんだよね。

おもしろ日本語も健在で良かった。強力わかもとは無かったけど、「おさけ おとくに」とか「アパート」とか「ソニー」とか。「アパート」の「アパ」だけが最初に見えたから「アパホテル出資してんの!?!!?」って内心めちゃくちゃ驚いたけど全然違ったわ(後で話したら連れもまったく同じこと考えてたらしくて笑った)。

以下、疑問とかちょっと気になったところ。

まずKの木馬の記憶について。記憶作家の彼女が「実際にあったことだ」と泣いたとき、自分のものだと明かさなかったのはなぜだろう? 英語のセリフを聞けばニュアンスが分かったりするのかな、1回観ただけではちょっと分からんかった。あのシーンはとにかくKの激情に胸を打たれた。冷静なK、冷静なライアン・ゴズリングだからこそあそこの叫びが際立ってたなあ。

あと、犬が基本的にしっぽをだらんとさせてたけど、ラヴ達が来たときだけしっぽを振ってたのはなんでだろ。見慣れない人たちに興味を持ったから? まさかラヴかウォレスが差し向けた犬とかじゃないよね? どうだろ。

それと、デッカードを拷問するためにラヴは「オフワールド」へ向かうことにしたわけだけど、結局ああいうことになった。ウォレスはどうなるんだ? ラヴとともにオフワールドへ出るわけではなかったのかな。さすがにウォレス社を放り出すわけにはいかないから地球に残って、ラヴ達だけ行かせることになってたんだっけ。覚えてないや。

SFを抜きにして、「何者でもなかった自分」「空想と現実との乖離」というテーマとして考えるとめちゃくちゃ刺さるところがあり、きついな……となったけど、それでも淡々と生きたKを思うとちょっとは頑張れるというか、頑張らなきゃなと思える。前作と、前日譚も観てからもっかい鑑賞したいな。